東大院生奮闘記ーK-Studyー

理系東大院生によるブログ。理系大学院生の日常や受験・院試対策、化学の基本的なことから最新の研究までわかりやすく解説!!

理学部と工学部は何が違うの?阪大工学部出身が語る進路選択の仕方

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理学部と工学部の違いはなかなか知ることが難しいのではないでしょうか。

自分も高校生の時には、違いを理解することが難しく、進路選択に悩んでいたこともありました。

そこで、共通テストも終わり、受験シーズンでもあるので、理学部と工学部の違いを、説明していきたいと思います!

 

自分は、大学は大阪大学の工学部、大学院は工学系研究科を選択しました。

大阪大学には、理学部、工学部に加えて、基礎工学部と言う学部もあり、かなり進路選択に悩みました。

そんな自分だからこそ、得た経験をもとに、比較していきたいと思います!

 

目次

1. 理学・工学とは

2.共通点・相違点

3.就職先、進路

4.得られる資格

5.研究について

6. なぜ工学系を選択したか

 

 

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1. 理学・工学とは

英語で、理学はScience(サイエンス)で、工学はEngineering(エンジニアリング)と言われています。

理学部と工学部では、学ぶ科目や、受験に必要な科目は似ているかもしれませんが、究極的な目標が異なっています。

 

理学は「新たな概念の構築、真理の探究」を目指し、工学では、「技術の開発・発明、人類の幸福の実現」が究極の目標になっています。

 

実際の研究の場面で、理学と工学の境がはっきりとあるわけではありませんが、究極的な目標が違います。

 

一般にいう、学問に興味があれば理学ものづくりに興味があれば工学といったイメージとよく一致しているのではないでしょうか。

 

また、それぞれの学部にある専攻も違っていることが多いと思います。

理学では、物理学専攻、化学専攻、生物学専攻、数学専攻、地学専攻などがあります。一方で、工学には、機械系、電気系、化学系、材料系、建築系などがあります。

 

2. 共通点・相違点

講義などで学べることはかなり似ていると思います。

実際に化学の話をすると、有機化学や高分子化学の授業どちらにもあり、使用する教材も同じであることも多いです。

学問の基礎の部分は普遍的であり、基礎的な講義内容は共通と言っても問題ないでしょう。

 

しかし、学問の基礎以外に関する講義では、学べることは大きく変わってくると思います。

例えば、理学部では、学部時代から実験が多いのに対し、工学部では実習が増えてくるかもしれません。工学部では、より社会で役立つような技術を身につけることに焦点を当てた講義も多いかもしれません。

 

また、大きな違いとしては上記にもあげた機械系や電気系、建築系は工学部にしかありません。こういったものを学びたい、将来やりたい希望の職種があるのであれば、工学部にしかない専攻を選択するが良いと思います。

 

また、大学院の話ですが、どちらにも共通したリーディング大学院のプログラムがあると思います。

例えば、物質材料系のリーディング大学院があるとします。その中では、理学系・工学系で分けられるよりも、物理系・化学系というように分けられています。

 

3. 就職先、進路

就職先については、正直あまりそこまで差はないと思います。

 

しかし、あえて言うとすれば、工学部の方が、より技術的な物づくりに焦点を当てたものが多いので、就職しやすいかもしれません。

また、機械系や電気系は日本が得意とする分野であり、企業でも生かせることを学んでいる学生の方が就職しやすいです。また、IT系のプログラミングなどを学べるのも工学部の情報系などの特徴かと思います。

 

しかし、学問を探究したい、研究者としてノーベル賞を目指したければ、理学部で大学教員や企業研究者を目指す進路があります。

 

理学部でも、特に化学系は就職しやすいと言われています。化学系、材料系では研究開発が重要であり、企業でも盛んに行われています。日本は高付加価値製品・材料の開発は世界でもトップレベルなので、その関連の企業への就職がしやすいと思います。

 

ただ、注意点として、コンピュータ・情報関連は今後伸びていくからと、興味がそこまでないにもかかわらず、進学してしまうと、授業や課題がついていけなかったり、挫折して、結局全く関係のない職種に就職する可能性があります。

 

また、阪大でも東大でも、理学部・工学部を問わず、大学院への進学率はかなり高くなっています。実際に、私の所属していた工学部の専攻では90人中2人だけが就職し、他は大学院に進学しました。大阪大学の大学院では、学科推薦制度があるので、就職に関して不安に思う必要はあまりないでしょう。

 

4. 得られる資格

 

高校教諭・中学教諭免許

自分は、高校教員の資格を取得するため、教育講義も受講していました。そこの参加者は工学系よりも理学系の方が多かったです。

 

甲種危険物取扱者

化学系の方は興味があるかもしれません。理学でも工学でも受験資格はあります。

・毒物劇物取扱者

 

1級建築士

工学系の建築学専攻であれば取りやすいと思います。

 

弁理士

技術士

 

などなど、様々な資格を取得可能です。しかし、社会に出てからでも遅くはないかもしれません。

 

5. 研究について

はじめに、研究の究極の目標が異なると書きました。

しかし、実際の研究の場面ではっきりとした境界があるわけではなく、理学部も応用的な研究もあれば、工学部でも基礎研究もあります。結局は入る研究室の教授の研究テーマによります。

研究設備も学部で差があると言うことはあまりないと思います。

 

実際に自分の興味がどこにあるか、それにマッチした研究室があるかと言うことが大事だと思います。

なので、進路選択では、自分は宇宙に興味があるから理学部物理専攻に行くとかプログラミングを学びたいから工学部の情報系に行くくらいで良いと思います。 

 

6. なぜ工学系を選択したか

正直を言うと、高校生のうちに何をやりたいのかをはっきりと決めることができず、選択肢を増やしたかったので工学部を選択しました。

なぜなら、自分が進学した自然科学系では、大学2年時に化学・物理・生物・機械を選択できる専攻があったからです。いわゆる、潰しの効きやすい、選択肢の多い進路を選びました。

 

自分はこの選択は正解だったと思います。高校生であるうちに専門的な講義を受けず、やりたいことを決め、選択肢を狭めてしまうのはもったいないと思い、実際に一年間広く自然科学を勉強してから、専門を決めることができたからです。

 

実際に専門的な講義を受けた上で、化学を選択しました。今でも化学の研究を行っており、将来も化学の研究者になりたいと思っています。これは、他の自然科学についても一年間学んだからこそ選択できたと思います。

 

しかし、高校のうちにやりたいことを見つけることができているのなら、早めにそれにあった進路を選択して、もっと知識を深め、自分の好きな学問を追求していく方が良いと思います。

 

 

 

以上、少しでも参考になればと思います!